オバマ大統領再任の影響と財政の壁
11月7日の米国株式市場で株価が急落したことを受けて、三菱UFJアセットマネジメント、岡三アセットマネジメントなどがレポートを発表した。
11月7日の米国株式市場において、ダウ工業株30種平均、S&P500種平均株価はともに前日比で2%以上の下落と急落。株価下落の背景には、オバマ大統領の再任が決定した米大統領選の結果とそれによる議会のねじれ、および財政の壁への懸念があるとみられる。
米国議会選挙の結果は上院は民主党が過半数、下院は共和党が過半数を占め、議会のねじれは解消しなかった。財政の崖とは2012年末のブッシュ減税等の期限切れと、2013年1月からの連邦予算自動歳出削減措置の開始等が重なる問題だが、この対応をめぐり民主党は富裕層向けの減税打ち切りを主張、共和党はブッシュ減税の全面延長を唱えている。この問題への本格的な議論は年明け以降になる模様だ。
今後の見通しについて
三菱UFJアセットマネジメントのレポートでは
「財政の崖」が回避できなかった場合の影響は、名目GDP(国内総生産)比で3%程度の景気下押し圧力になるとの試算もあり、この場合、米国は景気後退に陥るとみています。
今後、議会の開会は1月3日、次期大統領の就任式は1月20日であることから、年内に両党の合意が形成される可能性は小さく、各種の減税策を当面延長し、年明け以降に改めて本格的な協議を行うといった流れになるとみられます。このため、投資家にとっては、短期的には不透明感からリスクを取りづらく、株価の上値が重い展開となる可能性があるとみています。
岡三アセットマネジメントのレポートでは
大統領選挙と議会選挙を受けて、米国の財政政策の見通しに不透明感が強まっており、株式市場を見通す上で「財政の崖」に政府・議会がどう対応するかが焦点となっています。
また、米国の連邦債務は 2013年1月前後に上限に達すると見られることから、債務削減もしくは債務上限の引き上げなどの対応が急がれます。米国株式市場は、中長期的には景気回復を織り込む動きになると見られますが、短期的には財政政策の動向に左右されながら、調整色が強まる場面も予想されます。
とまとめられている。
米国株式市場の下落について(三菱UFJ投信)
http://www.am.mufg.jp/text/20121108rinji.pdf米国株式市場の下落について(岡三アセットマネジメント)
http://www.okasan-am.jp/news/up_pdf/r20121108.pdf