東京商工リサーチが18日発表した上場企業の2010年9月中間期決算では、業績を回復した企業が相次ぎ、業績予想を修正した943社(判明分)のうち、売上高の上方修正は約5割、最終利益の上方修正は約6割を数え、業績の急回復ぶりが目立つ。
しかし、この修正理由は、「コスト削減・利益率改善」が「需要増」を上回るなど、業績の本格回復までには至っていないという。
この調査は、全株式市場に上場している企業を対象に、10月中に同期の業績予想の修正を発表した企業の売上高及び当期純利益の修正状況をまとめたもので、3月期決算の上場企業2,580社の約3分の1に当る。業種内訳では、製造業が445社と半数近くを占め、輸出産業の景気牽引を改めて裏付けた形だ。
売上高、純利益ともに半数以上が上方修正
943社のうち、売上高を上方修正したのは535社で、全体の半数を超え、横ばいは31社(同3%)、下方修正は377社(同40%)だった。また、純利益を上方修正したのは591社(同63%)で、下方修正338社(同36%)の倍近くとなった。
売上高、純利益ともに半数以上の企業が、修正前の前回予想を上方修正し、両方とも上方修正したのは425社(同45%)だった。この業種別では、銀行業が39社中31社(同80%)、陸運業が18社中14社(同78%)、電気・ガス業が17社中12社(同71%)で、回復ぶりが目立った。
逆に、売上高、純利益ともに下方修正したのも231社(同25%)あった。業種別では、サービス業が51社中18社(同35%)で最も割合が高く、建設業が63社中22社(同35%)、小売業が50社中16社(同32%)の3業種だけが3割を超えており、低価格競争、低価格受注で売上・利益の確保に苦戦したとみる。
業績修正理由は、「コスト削減・利益率改善」がトップ
業績の修正理由(複数回答あり)として最も多かったのは「コスト削減・利益率改善」が355社(構成比38%)。次いで、「市況回復・需要増」313社(同33%)が続き、市況の回復とともに種々のコスト削減効果が当初よりも進んだ企業が多かったとしている。
また、純利益を上方修正した591社のうち351社(59%)がコスト削減・利益率改善を修正理由にあげており、原価低減や経費の削減、不採算部門の見直しなどで収益回復につなげている。
下方修正の理由では、「市況悪化・需要減」が179社(同19%)、「採算性・利益率低下」が76社(同8%)だった。また、円高に伴う為替差損の発生が41社あり、ほかは会計基準を「工事進行基準」に変更したことによる完工高の増減(21社)、有価証券評価損の計上(73社)などとなっている。
(株)東京商工リサーチ
http://www.tsr-net.co.jp/