連合(日本労働組合総連合会)(http://www.jtuc-rengo.or.jp)(所在地:東京都千代田区、会長:古賀 伸明)は今、めざすべき社会像として「働くことを軸とする安心社会」を提起しています。
「働くことを軸とする安心社会」とは、働くことに最も重要な価値を置き、誰もが公正な労働条件のもと多様な働き方を通じて社会に参加でき、社会的・経済的に自立することを軸とし、それを相互に支え合い、自己実現に挑戦できるセーフティネットが組み込まれている活力あふれる参加型の社会をさします。この考え方を提起するにあたり、現在の日本人の意識がどうあるのか調査を実施しました。
この「理想の日本像に関する意識調査」は、モバイルリサーチ(携帯電話によるインターネットリサーチ)により、2010年12月11日~12月14日の4日間において実施し、1000名(調査対象者:15歳~59歳の男女)の有効サンプルを集計しました。
理想の日本像に関する意識調査
理想とする社会のイメージ 1位「お互いに協力し合い、支え合う社会」
理想とする社会像が描かれたアニメや漫画 1位「サザエさん」
現在の生活や自分の将来に不安を感じることがある 9割強
日本人が失いつつある日本人の美徳 「礼儀正しい」6割強
今の日本人に必要なものは「行動力」 約5割
1年後、日本は今より良くなっていると思う 8.5%
日本が安定的に成長・発展するためには「雇用の安定」 7割強
2011年に身近で活躍して欲しいと思う理想のリーダー像は?
アニメや漫画のキャラクターでは、「矢島金太郎」「麦わらのルフィ」
著名人では池上彰さんがトップ、爆笑問題さん、マツコ・デラックスさんら上位に
2011年の働きがいや生きがい 「家族・子供・恋人」が2割強でトップ
◆理想とする社会のイメージ 1位「お互いに協力し合い、支え合う社会」
◆理想とする社会像が描かれたアニメや漫画 1位「サザエさん」
15歳~59歳の男女(全回答者1000名)に、「理想とする社会」のイメージについて聞いたところ、『あてはまる(計)』の値(「あてはまる」、「どちらかといえばあてはまる」の合計)が最も高かったのは、「お互いに協力し合い、支え合う社会」で86.3%、次いで「従業員が大切にされる社会」85.9%、「個人の力が発揮できる社会」85.1%、「犯罪が少ない社会」83.7%、「子供の将来に希望が持てる社会」82.3%、「引退しても老後が安心な社会」81.5%、「男女の格差のない社会」80.4%が8割台で続きました。
各項目の「あてはまる(計)」の値を比較すると以下のような結果となりました。
「収入は高いが、残業も多い社会」33.5%と「収入は低いが、ワークライフバランスのとれた社会」55.7%では22.2ポイント差で「収入は低いが、ワークライフバランスのとれた社会」が高くなりました。
「税金は高いが、社会保障の充実している社会」64.8%と「税金は低いが、個人の責任が重い社会」26.9%では37.9ポイント差で「税金は高いが、社会保障の充実している社会」が高くなりました。
「経営者が大切にされる社会」46.5%、「従業員が大切にされる社会」85.9%、「株主が大切にされる社会」50.1%では、「従業員が大切にされる社会」が最も高くなりました。
「ハイリスク・ハイリターンな社会」29.1%、「ローリスク・ローリターンな社会」53.2%では24.1ポイント差で「ローリスク・ローリターンな社会」が高くなりました。
また、全回答者(1000名)に理想とする社会像が描かれた「アニメや漫画」を自由回答形式で聞いたところ、「サザエさん」が最も多く12.3%、次いで「ドラえもん」6.9%、「ONE PIECE(ワンピース)」3.6%、「サラリーマン金太郎」3.0%という結果となりました。
◆現在の生活や自分の将来に不安を感じることがある 9割強
◆現在の生活や自分の将来の不安要因 1位「老後の生活」6割半
全回答者(1000名)に、現在の生活や自分の将来に不安を感じるか聞いたところ、93.0%と9割強が「不安を感じることがある」と回答しました。
不安を感じることがあると回答した930名に、自身を不安にさせているものを複数回答形式で聞いたところ、「老後の生活」が最も多く65.5%、次いで「収入」59.7%、「生活費や家計のやりくり」54.5%、「日本の財政問題」50.8%、「預貯金など個人資産」48.8%が続きました。
男女別に見て特に差が見られたのは「健康や美容」、「地球環境問題」、「就職や転職」で、「健康や美容」では男性24.9%、女性43.0%と18.1ポイント差、「地球環境問題」では男性30.8%、女性44.1%と13.3ポイント差、「就職や転職」では男性31.4%、女性44.1%と12.7ポイント差で、いずれも女性が高くなっていました。
また、10代、20代のトップ3の項目を見ると、10代では「入学試験などを含む各種試験やテスト」64.3%、「新卒の就職率」55.7%、「就職や転職」46.5%とトップ3に就職に関する2項目が入りました。20代では、「収入」66.5%、「生活費や家計のやりくり」59.9%、「預貯金など個人資産」53.8%とお金に関する項目がトップ3となりました。
◆日本人が失いつつある日本人の美徳 「礼儀正しい」6割強
◆今の日本人に必要なものは「行動力」 約5割
全回答者(1000名)に、今の日本人が失いつつある「日本人の美徳」を複数回答形式で聞いたところ、「礼儀正しい」61.7%が最も多く、次いで「心配りや気配りを大事にする」57.0%、「忍耐強さ」50.0%、「謙虚である」「人に優しく親切である」がともに46.5%、「人と協力し支え合うことを大事にする」45.7%が続きました。
年代別に見ると、「勤勉で学びや働くことを大事にする」では、上の年代ほど高くなり、10代33.0%、20代39.0%、30代40.5%、40代、50代がそれぞれ50.0%となっており10代と40代、50代では17.0ポイント差がありました。
また、全回答者(1000名)に、日本人の美徳以外で今の日本人に必要なものを複数回答形式で聞いたところ、「行動力」49.1%が最も多く、「柔軟な発想力」47.9%、「自己責任意識」47.7%、「危機管理能力」47.1%が続きました。
年代別に見ると、「自己主張」では下の年代ほど高く10代46.0%、20代40.5%、30代28.5%、40代26.5%、50代19.0%となっており、10代と50代では27.0ポイント差がありました。逆に「自己責任意識」では、上の年代ほど高くなり、10代41.5%、20代43.5%、30代46.0%、40代49.5%、50代58.0%となっており、10代と50代では16.5ポイント差がありました。また、20代では「交渉力やディベート力」45.0%と他の年代よりも高く、全体と比較して10.0ポイント高くなっていました。
◆1年後、日本は今より良くなっていると思う 8.5%
◆日本が安定的に成長・発展するためには「雇用の安定」 7割強
全回答者(1000名)に、日本の将来は今より良くなっていると思うかを1年後・3年後・5年後・10年後・30年後についてそれぞれ聞いたところ、1年後に良くなっている(「非常に良くなっている」、「ある程度良くなっている」の合計、以下同様)と回答したのは8.5%と1割弱、3年後では17.7%と2割弱、5年後では32.6%と3割強、10年後では46.5%と4割半、30年後で51.6%と半数強という結果となりました。
同じく全回答者(1000名)に、日本の安定的な成長や発展に効果がある、または重要であると思うものを複数回答形式で聞いたところ、「就職率向上や終身雇用など雇用の安定」が71.9%と7割強で最も多く、次いで「政治力」49.0%、「経済力」48.7%、「労働環境の改善」42.1%が4割台で続きました。
男女別に見て差が見られたのは、「就職率向上や終身雇用など雇用の安定」、「労働環境の改善」、「国際競争力」であり、「就職率向上や終身雇用など雇用の安定」では男性66.4%、女性77.4%と11.0ポイント差、「労働環境の改善」では男性35.0%、女性49.2%と14.2ポイント差でそれぞれ女性が高く、「国際競争力」では男性48.8%、女性30.8%と18.0ポイント差で男性が高くなっていました。
◆2011年に身近で活躍して欲しいと思う理想のリーダー像は?
アニメや漫画のキャラクターでは、「矢島金太郎」「麦わらのルフィ」
各界の著名人では、報道界の「池上彰さん」 スポーツ選手・監督では、「イチロー選手」
全回答者(1000名)に、2011年に身近で活躍して欲しいと思う理想のリーダー像(イメージ)としてあてはまる「アニメや漫画のキャラクター」(複数回答形式)、「各界の著名人」(複数回答形式)、「スポーツ選手・監督(引退選手・引退監督を含む)」(自由回答形式)を聞きました。
アニメや漫画のキャラクターでは、「矢島金太郎[サラリーマン金太郎]」が最も多く24.7%、次いで「(麦わらの)ルフィ[ONE PIECE]」23.6%、「工藤新一(江戸川コナン)[名探偵コナン]」23.0%、「島耕作[課長島耕作(現 社長島耕作)]」21.3%が2割台で続きました。
年代別に見ると、10代、20代では「(麦わらの)ルフィ」が最も多く、それぞれ38.5%、35.0%、30代~50代では「矢島金太郎」が最も多く、30代27.0%、40代31.5%、50代37.5%となりました。
各界の著名人では、報道界の「池上彰さん」が最も多く37.0%、次いで映画界の「北野武さん」が29.9%、お笑い界の「爆笑問題さん」が19.3%とテレビによく登場している著名人がトップ3となり、実業界の「孫正義さん(ソフトバンク株式会社代表取締役社長)」18.7%、評論界の「マツコ・デラックスさん」12.6%が続きました。
男女別に見ると、全体で2位だった映画界の「北野武さん」は男性34.0%、女性25.8%と8.2ポイント差で男性からの支持率が高く、5位だった評論界の「マツコ・デラックスさん」は男性9.0%、女性16.2%と7.2ポイント差で女性からの支持率が高くなっていました。
スポーツ選手・監督では、「イチロー選手(プロ野球、シアトル・マリナーズ)」14.1%が最も多く、次いで「星野仙一監督(プロ野球、東北楽天ゴールデンイーグルス)」11.0%となりました。7位の「斎藤佑樹選手(プロ野球、北海道日本ハムファイターズ)」3.1%までプロ野球の選手・監督(引退選手・引退監督を含む)が続き、8位「石川遼選手(プロゴルファー)」2.9%となりました。
◆2011年の働きがいや生きがい 「家族・子供・恋人」が2割強でトップ
全回答者(1000名)に働きがい・生きがいを自由回答形式で聞いたところ、家族の幸せ、子どもの成長、恋人など「家族・子供・恋人」21.7%が最も多く、仕事の充実、収入など「仕事・お金」10.0%、スキルアップ、夢の実現など「自身の成長・夢・希望」9.0%、趣味、自分時間など「趣味・自由」8.9%が続きました。
男女別に見ると、「家族・子供・恋人」では女性の方が高く、女性26.0%、男性17.4%と8.6ポイント差、「仕事・お金」では男性の方が高く、男性12.8%、女性7.2%と5.6ポイント差となりました。
<まとめ>
日本には5500万人を越える雇用労働者がいます。その家族の生活まで考えれば、まさしく日本のかなめ、主人公は、私たち働く者のはずにもかかわらず、そう実感できる社会にはいまだ遠い現状です。
戦後初となる選挙による政権交代が実現し、一党独占的な政治状況を脱したことで、日本の民主主義に新たなページが開かれたことは間違いありません。しかし、その先の日本のあるべき姿とは何か。本来政治に求められる、未来の社会像選択という観点からは、残念ながら各党とも明確なビジョンを示しておらず、また国民の間でも、そうした議論が熟しているとはいえません。
そうして迎えた2011年、連合は日本のめざすべき社会像についての国民的議論の展開を図ります。連合がめざすべき社会像として提起するのは、「働くことを軸とする安心社会」です。「働くことを軸とする安心社会」とは、働くことに最も重要な価値を置き、誰もが公正な労働条件のもと多様な働き方を通じて社会に参加でき、社会的・経済的に自立することを軸とし、それを相互に支え合い、自己実現に挑戦できるセーフティネットが組み込まれている活力あふれる参加型の社会をさします。
この考え方を提起するにあたり、今の日本人の意識がどうあるのか知るために、今回の調査を実施しました。
その結果、理想とする社会のイメージ1位が「お互いに協力し合い、支え合う社会」となりました。これは、連合の提起する「働くことを軸とする安心社会」にまさしく合致するものと考えています。また、対比して見ると、「経営者が大切にされる社会(「あてはまる」、「どちらかといえばあてはまる」の合計が46.5%)」より、「従業員が大切にされる社会(「あてはまる」、「どちらかといえばあてはまる」の合計が85.9%)」が圧倒的に支持されたことも、やはり日本の主人公・原“働”力は働く人たちであるべきことを強く感じさせます。
また、「収入は高いが残業も多い社会(同33.5%)」より「収入は低いがワークライフバンスのとれた社会(同55.7%)」が支持されていることについては、労働運動に何が期待されているのかを改めて問うていると考えます。
さらに、「低負担・低福祉」より「高負担・高福祉」の傾向が強く出たことは、日本の未来を考える上で、極めて興味深い数値となりました。連合としても社会福祉の財源をふくめた消費税議論を今後避けることはできないと考えています。
しかし、今回の調査では厳しい数値も出ています。とくに、「現在の生活や自分の将来に不安を感じることがある」が9割強、「1年後、日本は今より良くなっていると思う」がわずか8.5%となっています。
そのような中、日本が安定的に成長・発展するために必要なことは「雇用の安定」 と答えた人が7割強と最も多くなっています。働くことが社会生活の軸であるべきことが、ここでも明確に示されています。
なお、2011年理想のリーダー像として、トップは池上彰さん(報道界)、爆笑問題さんやマツコ・デラックスさんらも上位に入りました。
◆調査概要◆
◆調査タイトル:理想の日本像に関する意識調査
◆調査対象:ネットエイジアリサーチのモバイルモニター会員を母集団とする
15歳~59歳の男女
◆調査期間:2010年12月11日~2010年12月14日
◆調査方法:インターネット調査
◆調査地域:全国
◆有効回答数:1,000サンプル(有効回答母数から1,000サンプルを抽出)
◆実施機関:ネットエイジア株式会社
(担当:吉田)
■■本調査に関するお問合せ窓口■■
連合(日本労働組合総連合会) 総合企画局 企画局 担当:ヤロシュ、中里
TEL :03-5295-0510
Eメール :jtuc-kikaku@sv.rengo-net.or.jp
受付時間 :10時00分~17時30分(月~金)
■■連合(日本労働組合総連合会) 概要■■
組織名 :連合(日本労働組合総連合会)
代表者名 :会長 古賀 伸明
発足 :1989年11月
所在地 :東京都千代田区神田駿河台3-2-11総評会館内 3F-8F
業務内容 :すべての働く人たちのために、希望と安心の社会をつくる
連合(日本労働組合総連合会)
http://www.jtuc-rengo.or.jp