東京証券取引所と大阪証券取引所が、経営統合に向けた協議に入ることとなった。
両社長とも統合に前向きな姿勢を示しており、今秋上場を予定する東証とともに、既に上場済みの大証とが、2012年秋を目途に統合実現を目指すとみられている。10日の日経新聞などが報じたもの。
この2月には、ニューヨークのNYSEユーロネクストが欧州大手のドイツ取引所との合併合意を発表するなど、世界的な取引所の合従連衡が本格化する中、東証と大証は統合により、巨額の費用が必要となるシステム開発・運用への投資負担軽減を期待するほか、経営規模の拡大で海外取引所との再編に備えるとともに、アジアマネーの取込み狙いもある。
証券所棲み分けで効率性・利便性向上期待もあるが…
また、現物株と先物などのデリバティブ(金融派生商品)は、証券所の棲み分けで効率性の向上につながるとの見方もある。さらに今は村田製作所や任天堂が大証を主要取引所にしているいること、新興市場でもジャスダック市場と東証マザーズ市場の2つが併存している問題なども同様だ。
このように取引所の整理は、証券会社や投資家にとっても利便性が高まるメリットが期待されるものの、一方では競争が失われ、上場基準緩和や企業の増資放任などで取引所の利益は増えても投資家にとっては具合の悪い側面もある。
統合目的を明確にするとともに、国内個人の金融資産を含め、グローバルマネーをどう取り込み運用するかの方針を明確にし、証券所としての信頼性確保に向けた取り組みを示してもらいたいところである。
東京証券取引所
http://www.tse.or.jp/大阪証券取引所
http://www.ose.or.jp/日本経済新聞
http://www.nikkei.com/