政府の力
現在の状況は、各国政府にとって究極のチャレンジだとRoubini教授は語る。
「経済成長を遂げている最中はさておき、景気後退が進んでいるときに緊縮経済策をとることは理解を得にくい。またユーロ圏では、財政統合だけでなく生産性向上と市場競争を復活させるための構造改革が必要となるでしょう。」
現在、ユーロ圏で唯一経済の強いドイツのこれまでの歩みが復活の青写真であることをRoubini教授は指摘するが……
「ドイツにしても、構造改革と組織再編の成果が出てくるまでに10年かかっているんです。
スペインとポルトガルが今構造改革に乗り出したとしても、成果が出る前に、必要な経費に押しつぶされて、そうこうするうちに政権が交代してしまう。わたしは、公債対策に追われる経済通過同盟の各国が、同盟参加に利点が見出せなくなるのではと心配しています。」
ユーロとポンド
同盟国の脱退は、ユーロの外貨準備通貨としての価値に深刻な打撃を与えることとなる。彼は、このような経済通過同盟の崩壊に関する懸念を2006年から主張しているという。
一方、単独通貨を持つイギリスに対する診断は少し穏やかなものだが、それはそれで特有の試練が待っているようだ。
「インフレーションが進むことで、公債の価値が下がっていきます。そうすると、ポンドが暴落する。経済、金融市場、そしてポンドの外貨準備通貨としての価値、すべてを巻き込んでさらに混乱してくるでしょうね。」
不況は終わっていない!
Roubini教授は、現在の一時的な経済回復で政府が油断し、対策を行わないでいることが次なる問題を引き起こすのではと危惧している。
「どうしてわたしが過去の出来事について予言できたのかと聞かれることがありますが、反対に、どうして他の人はしなかったのかと尋ねたい。好景気のときには、みんな潤っていますから、現実が見えなくなってしまうんです。
まだまだ道は険しいですが、現在少し景気が上向きかけている。すると人々は2年前にどんな目にあったかをもう忘れ始めている。銀行も通常営業に戻り、ボーナスもおよそ基準額に戻ってきた。政府が進めようとする、比較的穏健な改革法案にさえも反発する動きがあるんです。
大恐慌時代、1929年から1933年にかけて経済が縮小しました。そこで復興の兆しがあったんですが、1937年から1939年にかけて第2の不景気がやってきた。
現在の問題に取り組んでおかなければ、少なくとも1度目と同じくらい厳しい第2波がやってくる可能性があるということです。」
「対策」は、いい時も悪い時も必要であるようだ。
Telegraph.co.uk 'Nouriel Roubini said the bubble would buest and it did. So what next?'
http://www.telegraph.co.uk/finance/economics/7756684/Nouriel-Roubini-said-said-the-bubble-would-burst-and-it-did.-So-what-next.html