政府と日銀がデフレ克服に協力して取り組む
2013年1月21・22日に金融政策決定会合が行われた。
この会合では、消費者物価の前年比上昇率2%を目指す「物価安定の目標」の導入、2014年度初頭からは期限を導入せずに一定額の国債など金融資産を買い入れる方式を導入すること(金額は当面の間毎月13兆円程度)が主な事項として決定された。
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同時に政府・日銀による共同声明「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日銀の政策連携について」が発表された。この声明では、政府・日銀が連携を強化し、デフレ脱却に取組む姿勢が示されている。
共同声明の要旨(三菱UFJ投信のレポートより)
日銀
・物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とする。
・上記目標の下、金融緩和を推進し、できるだけ早期の実現を目指す。
・金融政策の効果波及には相応の時間を要することを踏まえ、経済の持続的な成長を確保する観点から問題が生じていないかを確認する。
政府
・日本経済再生本部の下、経済再生へ向けて、政策を総動員し、経済構造の変革を図るなど、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた取組を具体化し、強力に推進する。
・日銀との連携強化にあたり、持続可能な財政構造の確立へ向けた取組を着実に推進する。
経済財政諮問会議
・物価安定目標に照らした物価の現状と今後の見通しや、雇用情勢を含む経済・財政状況、経済構造改革の取組状況等につき、定期的に検証を行う。
今後の金融政策の見通しについて
三菱UFJ投信のレポートでは自民党の政権公約で述べられたデフレ・円高対策から、今後日銀が金融緩和のさらなる強化と外債購入についての検討を行う可能性を指摘している。
また、「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」の中間評価から、現状の見通しに基づけば物価安定2%の達成は当面厳しいとみている。
日銀総裁は4月、日銀副総裁は3月に任期満了を迎える。後任には金融緩和に積極的な人物が選ばれ、さらなる金融緩和強化策がとられる可能性が高い。
為替動向について
会合後の外国為替市場で円は1ドル89円台前半まで上昇し、やや円高となった。円は昨年11月以降主要通貨に対しほぼ一貫して円安で進行。ただし今回の会合で物価安定目標2%が示され、円安材料は出尽くしたとみられ、利益確定の動きで一時的に円高が進む可能性がある。
市場では、日本の貿易収支構造が変化し、貿易赤字が定着、経常黒字が縮小するようになったことでファンダメンタルズに基づく実需面の資金フローから円高圧力が弱まった。
また7月の参院選に向けた日銀の追加金融緩和への期待も円安を誘発する要因となりうる。
これらのことから、
リスクオフの動きを誘発するような強い外的ショックが加わらない限り(その場合はリスク回避による円高圧力が高まると想定される)は、過度な円高に振れる可能性は小さく、基調としての円安トレンドは続く
と三菱UFJ投信のレポートでは予測している。
臨時レポート 日銀が物価安定目標および無期限の金融緩和導入を決定 三菱UFJ投信
http://www.am.mufg.jp/text/20130122rinji.pdf日本銀行
http://www.boj.or.jp/index.html/