社会保障費の不足
毎年のことだが、イギリスの歳出は歳入をはるかに上回っており、社会保障国家を支えるための資金が底をつき始めている。
手厚い社会保障
多くの人がイギリスの社会保障はあまりにも手厚すぎると言うが、無ければ無かったでさびしいものだ。昔だったら、職にあぶれたり、年金を受給できなかったり、病気になったりした場合、極貧生活を送り、最終的には救貧院に行きつくしかなかった。
もし病気になって医者にかかる費用を出せなかったら、人生はそこでおしまいだった。人々は今よりもずっと若い年齢で亡くなっていたのだ。
国民は手厚い社会保障をありがたく思うべきである。イギリスは毎年歳入よりもはるかに多い額を社会保障に注ぎ込んでいるのだから。しかし、借金は年々かさみ、ついには社会保障のための資金が底をつき始めた。
社会保障国家よ、さようなら
もし何かの災難が身に降りかかったとき、国民はいつでも国に頼ることが出来る。いかし、その国に何かあったらどうすればいいのだろう。それは現在ギリシャとスペインのおちいっている状況である。
アイルランドも同様だ。昨年、アイルランドでは公務員の給料が5%から15%削減された。さらに社会保障と医療費の支出をカットしようとしている。
これと全く同じことが現在イギリスで起きようとしている。税金は限界まで引き上げられるだろう。しかし、新連立政権にその責任を問うべきではない。彼らはイギリスをギリシャのように崩壊させはしないであろう。
優れた社会保障サービス
社会保障国家は何かしらの欠点はあったとしても素晴らしいものだ。イギリス国民は健康保険NHSで無料の医療サービスを受けられるし、失業保険と疾患保険は働けない人を支えている。国民年金は市場の動きに関係なく、ある程度の金額が一生支給される。
そう、その通り。この充実した制度を利用した詐欺も多いし、生活保護に依存している者も中にはいる。問題はかなり複雑で、これにかかる費用は膨大だ。だからと言って社会保障制度が無ければいいと言うことではない。
傾きつつある国家
まず問題なのは労働党が資金を使い果たしてしまったことである。しかし、さらに大きな問題が目前に迫っている。イギリス社会の高齢化が進んでいるのだ。ベビーブーム世代が退職し、年金を受給し始めるが、その年金を支える若い世代の数が減少しつつある。
ただ問題から目をそむけたり、移民労働者をたくさん受け入れたりと短期的な解決策なら山ほどある。しかし労働者を受け入れたとしても、彼らが高齢になれば年金を受給するようになるのだ。もしかしたら、日本の例にならって、介護用ロボットを開発するのが良い解決策かもしれない。
編集部 R.Nakao
Lovemoney.com