景気を測る
全米経済研究所(NBER)の景気循環日付委員会(Business Cycle Dating Committee)は、最も重要視する指標として実質GDPと実質GDIを取り上げ、さらに経済活動全体を正確に反映するための効率的な指標として
(1)実質個人収入額(2)雇用率(3)産業生産率(4)製造販売業の売上総額 を選定、時間の経過に伴うこれらの数値の推移を日付決定の基準としている。
同研究所の分析方法をもとに、不況前ピーク時の数値を100%とし、上述した指標のうちの、実質GDP(実質GDI)、産業生産率、雇用率、実質個人収入額の現状を見てみると……
Good News
2010年の第1四半期は、不況前ピーク時の数値まで、実質GDPで1.3%、実質GDIで2.0%及ばずとなっている。これらの数値は次の四半期が終わるころにはさらに不況前ピークに近づくと予想される。
ちなみに80年代初頭の2つの不況の谷間を見てみると、両方の数字が不況前ピークまで回復の後、再び下降している。
次に産業生産率。数字はFederal Reserveの5月のデータに基づくもの。不況前ピークまではあと8.1%。製造業は、拡大傾向であるが成長が緩やかになっており、このまま順調にいったとしても不況前ピークのレベルに届くまではやや時間がかかると見られる。
80年代には不況前ピークまであと0.5%のところまで回復が見られた。
Bad News
雇用率について。80年代不況の谷間には、完全に不況前ピークまで回復していたが、現在はかろうじてどん底から這い出たというところだ。
最後に5月の実質個人収入額。2009年の9月の時点が最低、そこからやや持ち直しはしたがまだ不況前ピークには6%及ばない。これも80年代には不況前ピークまで回復していた指標である。
過去から射す希望の光
アメリカはこの後、1980年代初頭の不況を抜け出し、レーガン政権発足とともに好景気の時代へ入ってゆく。2000年代の大不況、はたして80年代と同じ復興の道を辿ってゆけるのだろうか。
金融・経済関連の様々な統計数値が見られるサイト Calculated RISK(英語)
http://www.calculatedriskblog.com/Business News Online 'Recession Dating and a "Double Dip"'
http://business.techwoo.com/economics/2010/07/04/recession-dating-and-a-double-dip/