半導体商社PALTEKの実例より
半導体商社PALTEKは90年代にはインターネットや携帯電話の普及で急成長し、98年株式公開を果たす。しかし、2005年11月、事業の柱であるPLD(半導体の一種)の仕入先、米国A社から代理店契約の打ち切りを言い渡された。
PLDは当時の売り上げの7割を占めていたという。会社の存亡にかかわる大ピンチをいかにして切り抜けたのか。
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周囲との共生を心がけていれば、ピンチは逆にチャンスとなる
PALTEKの社長高橋忠仁氏は信念を持って経営に臨んでいた。ピンチが訪れたときに慌てるのでなく、日頃の経営姿勢が問われるという。
こういった事態を乗り切るのに大事なのは、常日頃から「物心両面」で充実した経営を行うということです。
まず心の面についてですが、やはりこれは、社員みんなと心をひとつにしておくことが大切です。そうでないと、ピンチが訪れたときに、社員から見限られます。まずは、会社の理念を共有しておくことがなによりも大事です。
契約打ち切りの話が飛び込んできてもけして社員を減らすことはせず、逆にピンチを共闘して切り抜けることで成長のチャンスにできると一致団結した。その結果、優秀な社員を失うことはなく、会社の体力を保つことができた。
もちろん、理念を具体化する努力も忘れてはなりません。当社ではそれを顧客への技術支援という形で実践しています。
半導体業界は特定の分野での専業化や製品自体の高機能化が進んだ結果、顧客にとって使いこなすことが困難になった。そこで、PALTEKはシステムに基づいた提案や技術の提供などを無償で行った。
その結果A社からの契約打ち切りを聞いて離れていく顧客はなく、それどころかPLDシェア世界一のB社との代理店契約や関連事業会社からの事業譲渡の話が舞い込んだ。
物心のうち、心だけではなく「物」もピンチを乗り切る要因になります。具体的には、会社の財務基盤を安定させておくことです。
PALTEKの自己資本比率は70%超で業界トップ水準である。おかげで1,2年収入がなくとも社員に給料を払えるだけの余裕が持て、事業買収案も手元資金でスムーズにまとまった。思わぬトラブルを解決するには、理念だけでなく財務的な蓄えも必要だ。
地に足のついた経営が社員やわが身を救う
未曾有のピンチを通して成長する機会を得たAPLTEKの高橋社長は次のように振り返る。
もしも、「目先の数字がすべて」という経営をしていたら、こううまくはいかなかったと思います。京セラの創業者で盛和塾の稲盛和夫塾長は、社長の仕事を「従業員の物心両面の幸せを図ること」とおっしゃっています。常日頃から物心両面の充実を図っていくことが、このように困難な事態を乗り切る力になるのです。
株式会社PALTEK
http://www.paltek.co.jp/プレジデント サラリーマンのFAQ
http://www.president.co.jp/pre/backnumber/2008/20080204/1624/2397/1641/