既に踊り場に入ったとの見方も
16日に発表された4~6月のGDP(国内総生産)は実質成長率が前期比0.1%増となり、景気回復ペースが鈍化していることを示した。対欧州向け輸出こそ好調だったものの対アジア向け輸出は減少し、GDPの6割を占める個人消費は息切れ感が目立つ。
物価の影響を含む名目GDP成長率は前期比マイナス0.9%で2期ぶりに実質を下回り、「名実逆転」のデフレ状況に戻った。実質GDPへの影響を示す「寄与度」は内需がマイナス0.2%、外需がプラス0.3%で国内の景気の減速を輸出が支える構図が鮮明になった。
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3つのリスク「政策・為替・海外」
国内の自動車販売の下支えをしてきたエコカー補助金が9月末に廃止される。自動車業界では新車販売は反動減が予測されると戦々恐々としている。エコポイント制度も4月に対象品目が絞られ、制度自体も年内に終了になる。こちらも反動減が予測され、「官制景気」の終わりが近づいている。
外需に頼る日本経済の最大のリスクは円高である。輸出企業の多くは想定為替レートを1ドルを90円に設定しているため、営業利益が大幅に押し下げられる。円高は株安にも波及する。資産価値の目減りを嫌って買い控える「逆資産効果」が懸念される。
欧米の景気停滞感が続いている。失業率は高止まりし、小売売上高も低調で景気回復の足取りは重い。好調だった中国の景気もここにきて一服感が出ている。海外景気の減速感が強まれば、国内景気が二番底を迎える可能性は否定できないとの指摘が強まる。
日本経済が外需と政策効果だけに頼ってきたことが浮き彫りになっている。
内閣府 国民経済計算 GDP速報
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/toukei.html