三菱航空機は、次世代リージョナルジェット機MRJ (Mitsubishi Regional Jet)を2009年9月の仕様確定以来、本年夏の終了を目指して設計作業に取り組んできたが、このほど詳細設計から製造段階に移行したと発表した。
MRJの主なパートナーは既に決定しており、今後、パートナー各社によって部品の製造が開始されるが、親会社の三菱重工業では、胴体・主翼・尾翼を製造し、機体の最終組立と艤装作業を担当するという。なお三菱小牧南工場は、かつてYS-11の組み立てをしてもいる。
世界最高レベルの運航経済性と客室快適性
MRJの特徴は、世界最高レベルの運航経済性と客室快適性を兼ね備えた70~90席クラスの次世代リージョナルジェット機という。
先進の空力技術・複合材技術に加え、次世代の新型エンジンを採用することで、従来の同型ジェット機と比較して20%以上も優れた燃費性能を持つ。騒音、排出ガスも大幅に削減し、これら圧倒的な運航経済性と環境適合性により、エアラインの競争力と収益力の向上に大きく貢献することを目指している。
また機内の座席シートは、自動車技術の転用による三次元編物のスリムシートとしたことで、従来よりも薄くすることが可能で、座席の前後の間隔と足元の空間に余裕が出る。そして体にかかる圧力を分散させ、通気性にも優れており、乗客はゆったりと快適に座れるとしている。
トイレは車椅子の利用も可能という。さらに大型のオーバーヘッド・ビン(荷棚)の装備、横4席配置や通路のゆとりは、これまでのリージョナル機にはない快適な客室空間を提供している。
初号機納入は2014年、10年間で1,000機見込む
予定では、初飛行を2012年第2四半期に、初号機の納入は2014年第1四半期とのこと。
これまでの受注は125機(含仮発注)で、全日空が25機、米トランス・ステイツ航空が100機となっている。また日本航空やカタール航空も導入を検討中という。
リージョナルジェットの採算分岐点は350機といわれ、三菱は2012年の型式証明取得から10年間で、1,000機の販売を目指している。
そして航空機開発は、自動車以上に技術の裾野が広いことから、MRJから各種産業への技術移転が期待されている。
MRJ ホームページ
http://www.mrj-japan.com/j/index.html