64社の回答
8月31日に行われた環境省の「中央環境審議会 国内排出量取引制度小委員会第11回」において、国内排出量取引に関する3つのオプションが提示された。
これをうけて日本経団連は、同小委員会でヒアリングを受けた業界など73社を対象に、「排出量取引制度環境省案に関するアンケート」を行った。回答は64社よりあった。内訳は鉄鋼11社、電力10社、化学10社などと続いている。
明確な拒否
調査期間は9月3日より8日までで、結果は16日に発表されたが、中身は極端なほどはっきりと出た。まず「環境省の提示した3つのオプションについて、賛成か反対か」を問うた4択式の項目。
ここで「いずれのオプションでも賛成」と回答した企業は0社。対して「いずれのオプションでも反対」と明言した企業は61社にのぼる。
他に「どのオプションかによる」としたのが1社、「どちらとも言えない」との回答が2社。
「反対」を明言した企業に対する、複数回答の理由調査では、「国際競争力や雇用に悪影響を与えるおそれがある」が、なんと60社。
ついで「海外からの排出枠購入により、わが国の国富の流出を招くおそれがある」が56社にのぼった。
また日本で排出量を減らせても、工場などを海外移転して生産を行い、結果日本の温室効果ガスは削減できても、地球全体では増えるという現象をさした、「炭素リーケージが生じ、地球規模の温暖化対策にならない」との回答を行った企業も、57社にのぼった。
全体として、ただでさえ厳しい経済情勢の中、自国だけが突出して負荷を負うことへの危惧が色濃く反映される結果となった。
編集部 宗近 明
日本経団連:排出量取引制度環境省案に関するアンケートの集計結果(PDF)
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/081.pdf