衆議院解散と選挙が大きく影響
投資信託を始めとする総合情報サイト、モーニングスター。「アナリストの視点(ファンド)」12月11日付けの記事では11月の市場概況について述べている。
衆議院の解散で自民党新政権誕生が予想され、日銀への追加金融緩和圧力が強まるのではとの懸念から外国為替市場では円安が進んだ。また10月の鉱工業生産は市場予想に反し改善、これらの影響から国内株ではTOPIX(東証株価指数)の月末終値が前月末比5.27%上昇した。
ただし2012年7-9月期の実質GDP(国内総生産)成長率は3四半期ぶりにマイナスを記録。物価の変動を除いた実質で前期比0.9%減、年率換算では3.5%減となった。2四半期連続のマイナス成長で、景気の後退局面を示すものだ。
米国株式はNYダウ工業株30種平均が下落。米大統領選挙でのオバマ大統領の再選が米議会のねじれ状態を継続させていること、「財政の壁」問題への警戒感の強まりなどが背景にある。
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追加金融緩和への懸念
次期政権政党として有力視されている自民党の安倍総裁が積極的な追加金融緩和の推進について言及を繰り返していることが市場へ大きな影響を与えている。
外国為替市場は、安倍総裁の積極的な金融緩和推進を受け、ドルやユーロに対し円安となった。
国内債券市場も同様に安倍総裁の言及を受け新発10年もの国債利回りが低下。その一方で債券価格は上昇した。
海外債券市場では米10年国債利回り、ドイツ10年連邦債利回りがともに低下。EU(欧州連合)のユーロ圏2013年GDP成長率見通し引き下げ(9月予想-0.4─+1.4%から-0.9─+0.3%へ)米「財政の壁」問題への警戒感によるリスク回避の動きの強まりなどが影響していると考えられる。
これからの注目点
12月は、衆議院選挙後の新政権による経済政策が金融緩和をさらに後押しするものとなるかが焦点。また、米国での大型減税の失効と歳出削減策の実施が重なる「財政の崖」問題の解決が年末をピリオドとしていつまでに着地できるかが注目の的となりそうだ。一方、ECB(欧州中央銀行)の政策金利が0.75%の歴史的な低水準にある中、6日の理事会で金利据え置きを決めたECBの今後の舵取りも注目される。
と記事は締めくくられている。
アナリストの視点(ファンド)モーニングスター
http://www.morningstar.co.jp/fund/analyst/2012/