出遅れのオフィスセクターも上昇局面入り
インベスコ投信投資顧問株式会社が、米国REIT(不動産投資信託)をテーマに、プレス向けのセミナーを開催した。セミナーでは、同社グループで不動産投資を手がける、インベスコ・リアル・エステートのマネジング・ディレクター、ジョー・ロドリゲス氏が市場の現状と今後の見通しについて語ったそうだ。
それによれば、REITのファンダメンタルズは非常に良好で、その改善状況は賃料と稼働率に表れているという。住居やホテルなど、主要セクターで賃料上昇がみられ、出遅れていたオフィスも上昇局面入り、全体として上昇加速にあるとした。稼働率でも小売りや産業施設、オフィスが2010年に底を打ち、改善傾向が続いているという。一方で物件の新規供給は限定的であることから、オーナーは賃料改定の際に値上げをしやすく、REITの1株当たり収益と配当の増加につながっているとした。
米国REITは、1株当たりの配当で1994年以降、年率6%の成長率を達成してきている。リーマンショック後も翌年以降増加基調に。ロドリゲス氏は、さらに2013年は8~10%の増加、銘柄によっては2ケタの成長が可能と予測しているそうだ。
(インベスコ投信投資顧問サイトトップより参考画像)
賃貸住宅、医療施設、物流倉庫にとくに注目
セミナーでロドリゲス氏は、インベスコ・リアル・エステートのREITにおける運用戦略についても解説を行った。同社では、低成長を続ける米経済のなか、配当収入の増加でトータルリターンを高めることを重視し、他社のファンドや市場平均より高い配当利回りのポートフォリオ構築を目指しているという。投資対象では、マーケットの変動性が高いかどうかを考慮し、時価総額が大きく流動性の高い銘柄を組み入れているそうだ。
REITは全般として魅力的としながら、なかでもとくに有望とみているものは賃貸住宅と医療施設、物流倉庫のREITだという。その理由として、賃貸住宅では、リーマンショック以降、持ち家率が低下傾向にあることから、今後100万世帯相当の追加的な賃貸需要が見込まれていることを挙げた。医療施設は、米国も日本同様、高齢化が進展する中でニーズが高まっているといい、老人ホームや病院などの需要増は景気変動の影響も受けにくいとした。また、物流倉庫については、電子商取引の増加で、今後需要は一段と拡大するものと予想しているという。
インベスコ投信投資顧問株式会社
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