最近の外国為替相場で急激な円高影響を受けたことから、1~10月の円高関連倒産は、前年同期比で39件増え、58件と3倍に急増していることが、(株)東京商工リサーチの調査で分かった。
倒産したのはすべて中小企業であり、長引く円高で経営体力を失ったものと思われる。
負債総額は、前年同期比50%増の854億円で、これは負債10億円以上の大型倒産が25件(前年同期11件)と倍増したのが大きな要因となっている。
産業別では卸売業が倍、形態別では破産が5倍で最多
58件についての産業別では、卸売業が同123%増の29件(同13件)が最多で、次いで製造業が同425%増の21件(同4件)、小売業3件だった。
形態別では、破産が同375%増の38件(同8件)が最多で、民事再生法が同11%増の10件(同9件)、銀行取引停止が7件(同0件)と続いた。
同社では、最近の外国為替相場での急激な円高の影響は、輸出関連での国際競争力の低下とともに、生産拠点の海外移転を促し、労働力や部品などの海外現地調達、現地生産という「産業の空洞化」をも加速させかねず、企業倒産だけでなく国内の下請けや雇用など国内経済への波及も懸念されるとしている。
(株)東京商工リサーチ
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