内閣府が15日発表した今年7-9月期の国民所得統計1次速報によると、物価変動の影響を除いた実質国内総生産(GDP)は前期比プラス0.9%、年率換算プラス3.9%となり、4-6月期の前期比プラス0.4%(年率プラス1.8%)から加速した。
これは事前予想を上回るもので、前期比での増加は09年10-12年期から4四半期しての連続となる。ブルームバーグなどが報じている。
猛暑、エコカー制度が個人消費の伸びを牽引
今夏の猛暑の影響で個人消費が伸びたことや、9月初旬のエコカー購入補助制度終了前の駆け込み需要などが成長をけん引したものとみられる。
項目別では、GDPの6割弱を占める個人消費が同1.1%増と伸び、設備投資は0.8%増、住宅投資は1.3%増だった一方、公共投資は0.6%のマイナスだった。また輸出は、2.4%増と前期からは減速した。
生活実感により近いとされる名目GDPは、前期比0.7%増(年率換算2.9%増)と、2四半期ぶりにプラスに転じたものの、実質GDPの伸びを下回り、デフレ状態は続いている。名目は、過去15年近くに渡りほぼ横ばいのままだ。
10-12月期はマイナス予想に、補正成立時期も影響
先行きについては、長引く円高や海外経済の減速などで鈍化が予想されており、内閣府の外郭団体の(社)経済企画協会が11日発表した民間エコノミスト対象でのESPフォーキャスト調査(回答数41人)では、10-12月期の実質成長率(前期比年率)は平均でマイナス0.88%となり、来年1-3月期は同1.0%のプラス成長を見込んでいるという。
政府は10月26日、緊急総合経済対策としての10年度補正予算案を正式決定している。海江田経済財政担当相は、公共事業契約の前倒し分を含めて5.1兆円程度の規模となる対策の効果について、今年度と来年度のGDPをそれぞれ0.3ポイント押し上げるとの試算を示しているが、補正予算が今国会でスムーズに成立するか否かは微妙な情勢だ。
GDP速報(1次速報値)
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/qe103/main_1.pdf内閣府
http://www.cao.go.jp/ブルームバーグ
http://www.bloomberg.co.jp/