国際協力銀行は、「わが国製造業企業の海外事業展開の動向」に関するアンケート調査を実施し、この結果を3日に発表した。
調査は、海外事業に実績のある日本の製造業企業の海外事業展開の現況や課題、今後の展望を把握する目的で、1989年から実施しているもので、今回は22回目となる。対象企業961社に7月に調査票を発送、8月にかけ回収し、605社から有効回答を得たもの。
約83%の企業が海外事業を強化・拡大すると回答
この調査の結果、直近のの製造業企業収益状況についてリーマンショック直後との比較で聞いたところ、73.0%が「回復」と答え、全社的な経費削減の進展、国内外での販売増に伴い回復傾向にあった。
海外事業に対する中期的な取り組み姿勢では、約83%の企業が強化・拡大すると回答し、前年比で17ポイント増えている。アジア諸国向けを主として、海外事業への意欲はより積極的だったという。
中期的に有望な投資先国調査では、1位が中国、以下インド、ベトナム、タイの4ヵ国の順位は昨年と同じ結果で、マーケットの成長性に期待が集まるブラジルとインドネシアが5位、6位に上昇している。また、長期的な有望国としてはインドがトップとなり、企業の中でも新興国に対する見方に変化がみられるとのこと。
<上図は、調査報告より>
有望国としての中国評価はさがり、リスク分散要と
また中国との関係では、尖閣諸島事件により通関の遅れとレアアースの調達関係で影響を受けた企業が22.6%あり、有望国としての評価は、24.8%の企業が下げている。
そして今後の中国事業への取り組みについては、35.1%の企業が見直しも含め慎重な対応をすると回答し、46.9%の企業が中国依存からリスク分散が必要としている。
こうした点から、日本企業のアジア・新興国に対する今後の事業展開の動向は、大いに注目されるところだ。
国際協力銀行発表
http://www.jbic.go.jp/ja/about/press/2010/1203-01/index.html「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告」
http://www.jbic.go.jp/ja/about/press/2010/1203-01/houkoku.pdf別紙:(抜粋)中期的有望事業展開先国・地域
http://www.jbic.go.jp/ja/about/press/2010/1203-01/besshi.pdf