日本経済研究センターは10日、:「社債市場活性化への5つの提言―個人に投資機会、市場規律ある銀行経営にも貢献―」と題した金融研究リポートを公表した。
リポートでは、日本の企業金融が銀行融資に偏っており、社債市場の発達が遅れていると指摘する。
日本の社債市場は個人が買い難い状況に
世界で最も社債市場が発展している米国は、6月時点の社債保有残高が11.4兆ドルあり、日本は75.1兆円と10分の1にも満たない額となっていて、先ず規模的にも小さい状況だ。(上図)
ところが、社債保有者でみると、日本は銀行と保険会社・年金基金の保有比率が76%を占め、家計(個人)はわずか2.3%にとどまる。一方米国では、家計が18%のほか投資信託を介した個人の比率は銀行・保険に匹敵するレベルであり、海外投資家も21%となっている。
日本で個人が社債購入に向かわない理由に、会社法で定める社債管理者要件から経費問題があり、個人が買い難い状況となっているとともに、証券会社も手数料収入につながらず、積極的に売り込まないためと指摘する。
社債市場の活性化は経済全体にメリット大と
そしてリポートは、社債市場を活性化させることが預金の減少につながり、ひいては預金金利も上昇することとなるため、企業の資金調達手段の多様化は、企業自身や投資家だけでなく経済全体にメリットが大きいとする。
そして、この活性化に向けて、以下の5点を提言している。
1.銀行は信用リスクに見合った融資金利を設定すべき
2.個人が社債に投資しやすい環境を整える必要がある
3.企業は個人向け社債の発行に積極的に取り組むべき
4.流通市場の活性化のため、取引価格の透明化が求められる
5.外国人の投資家が参加しやすい条件を整える必要がある
金融研究リポート(日本経済研究センター) へ
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