東京金融取引所が4日発表した外国為替証拠金(FX)取引(愛称:「くりっく365」)で、2010年度の売買(取引)数量は、オーストラリア(豪)ドル/円取引がアメリカ(米)ドル/円を抜いてトップだったという。
「くりっく365」取引数量は、総数で約1億1千万枚(1枚は1万通貨単位)と前年比で45%増えており、このうち豪ドル/円が約3427万枚で、前年比93%増えた。米ドル/円も4割近い増加だが、豪ドルがこれをはるかに上回ったもの。(下表参照)
流動性高く安定性ある豪ドル、スワップ金利が魅力に
豪ドルに人気が集まる理由は、その高い金利(現在4.75%)にある。豪州は中国などへの資源輸出国として、世界でいち早く景気が回復基調に転じ、政策金利の上昇が続いていて、実質ゼロ金利の日本円との金利差から発生する収入(スワップ金利)が注目されるためだ。
金利の低い通貨(円)を売って高金利通貨(豪ドル)を購入すると、その通貨ペア保有中は金利スワップ(金利差益)を受け取ることができる。しかも、レバレッジを効かせるFXには、少ない原資で大きな差益を得られるメリットがある。
ただしFXは、証拠金が不足するとロスカットとなり、証拠金には余裕が必要だが、豪ドルは比較的に流動性が高いことから、暴落する可能性は低いと考えられる。このため金利差益を狙った長期保有を目的に、買い増しする投資家が多いとみられている。
ユーロ/米ドルは前年比3倍超に! 通貨ペアも拡がる
このほかでは、ユーロ/米ドルが前年比229%増と急増、次いでスイスフラン/円(同101%増)、ユーロ/円(同100%増)などと続いて、通貨ペアの選択肢も広がるとともに、全てのFX取引が前年比で増える結果となった。
ここしばらくは、米国や日本などが金融緩和策を継続することが予想され、スワップ目当ての豪ドル買いも当分続きそうだ。
「2010年12月および2010年の取引数量について」
http://www.tfx.co.jp/newsfile/11/201012repo_j.html(株)東京金融取引所
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