帝国データバンクは11日、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に関する企業の意識調査結果を発表。TPPへの参加は、企業の3社に2社が日本にとって必要で、自社業界にとっても4割弱が必要としていた。
調査は、昨年12月16日から1月5日までの3週間で、全国2万3,101社に対しアンケートを実施、1万917社(回答率47.3%)からの有効回答が得られたという。
政府は、この年6月までにTPPへの正式参加の是非を判断するとしている。経済団体を中心に参加を支持する意見は大きいが、一方で関税撤廃による国内農林水産業への影響などを懸念し、農協や漁協などの生産者団体を中心に参加に反対する意見も上がっている背景から、この状況調査をしたもの。
TPP参加必要65%、参加しないと景気に悪影響72%
日本経済にとってTPP参加が必要か尋ねたところ、65.0%が「必要」と回答、「必要ない」の8.6%を大きく上回っていた。また参加しなかった場合の景気への影響については、72.4%が「悪影響があるとしている。
自社業界にとっての必要性では、「必要だと思う」38.3%が、「必要だとは思わない」21.0%を上回り、これを規模別でみると、「必要」の割合は「中小企業」39.8%、「小規模企業」36.7%、「大企業」33.6%の順となり、大企業よりも中小企業の方がTPP参加の必要性を感じているという。
農林水産業では「必要ない」が5割と優勢、支援意見多く
TPP参加が必要とする企業を業界別にみると、「サービス」「不動産」「製造」などが7割弱と多く、10業界中7業界で6割以上の企業が「必要」と答える一方、「農・林・水産」では「必要」が35.6%で、「必要ない」の48.9%を下回る結果となった。特に地域別で、農林水産業が主要産業の北海道での反対意向が強かった。
農業に関する意見では、「日本の農業は安全・品質・味覚ともに素晴らしく、外に出て行く方が発展する」、「いまや国内の消費だけでは立ち行かない時代になり、海外向けの農産物の開発が不可欠」など、日本の農業は高い競争力を有し農業生産物の輸出も含めて政治が支援していくべき、という意見も多くあったという。
こうした課題がある中で、現状としてTPPに参加できると思うかには、「参加できると思う」と回答した企業は46.1%となり、半数近くの企業が楽観的に考える一方、「参加できるとは思わない」が22.1%と悲観的にみるのもあった。
TPPに参加に必要な道筋は、ビジョンの提示・農業対策
日本がTPPに参加するための道筋として最も必要のものを尋ねると、「TPP参加後の日本経済の姿の提示(ビジョン)」が35.8%で最も多く、次いで「農業部門などへの総合対策案提示」18.9%、「政治のリーダーシップ」15.2%と続いた。
このほかの意見では、日本の経済構造から自由な貿易は欠かせないという声が多く、参加しないと企業の海外移転が加速し、産業の空洞化により雇用不安の増大や資本の流出といった経済活動の停滞を指摘する意見が多かったという。
TPP に関する企業の意識調査
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w1012.pdf帝国データバンク
http://www.tdb.co.jp/index.html