(株)日立製作所は2日、英国運輸省の都市間高速鉄道計画(IEP : Intercity Express Programme)について、日立が出資する特別目的会社「アジリティ・トレインズ(AT)社」を通じ、正式契約に向けた交渉を再開することになったと発表した。
今後、関係者との間で最終的な契約条件の交渉を行い、年内に正式契約を締結する見通しという。
契約成立後AT社は、約30年に渡って英国鉄道事業者に対する車両リース事業を展開し、日立はAT社より同社のリース事業向けの車両の製造と約30年間にわたる保守事業を一括して受注することとなる。
英国の緊縮財政転換から見直しあるも優位性が評価
これまでAT社は、2009年2月に英国運輸省から本件の優先交渉権を獲得し、正式契約に向けた交渉を実施してきたが、英国政府から、2010年5月に実施された英国総選挙への影響回避を理由に、同年2月に契約交渉が凍結されていたもの。
選挙後の新政権が緊縮財政へ方針転換を図ったため、IEPなどの政府投資案件に厳しい見直しが実施され、AT社は提案の改善を重ねていたもの。このほど英国政府から、信頼性・環境負荷・快適な旅客サービス等を含む投資対効果の面での優位性が改めて認められたことから、今回の交渉再開が決まったという。
車両受注規模は、当初のものから減らされ半分以下の500両となり、総額で6,000億円の見込み。これに対し日立は、英国北東のダーラム州に車両の生産・組立拠点設立を表明、500人規模での生産を開始し英国の雇用創出に貢献するしている。
これまで世界の鉄道市場は、シーメンス(独)、ボンバルディア(加)、アルストム(仏)の3社がほぼ占有してきているが、日立の今回の受注が確定すれば欧州に拠点を確保することとなり、今後の欧州での新たな受注展開に向け、大きな意味合いを持つこととなりそうだ。
(株)日立製作所
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