非営利の民間研究機関である日本経済研究センターは、東日本大震災に関する緊急提言を4月25日に発表した。これは3月17日の発表に続くものとなる。
<イメージ画像 by
Yu, Scott>
3年間は電力制約続く。東西の周波数統一策も提言
発表の中で、震災から1ヵ月以上経過したが、今後の日本経済に重くのしかかりそうなのは、震災で負った有形・無形の傷に加え、福島第一原発事故による電力制約があるとする。
今夏、関東で電力が10%不足する場合、各産業が電力依存度に応じ経済活動を落とせば、経済モデル試算で夏場の日本経済は4%以上落ち込む可能性があり、通年では2%の押し下げになるという。また電力制約は、少なくとも3年間は続くとし、今後に向けては東西の周波数統一を考えるべきとしている。
当面、新設火力や原発の稼働継続・再開により、2014年夏に電力不足は一応解消するが、反対に、原発の安全基準見直しなどから順次停止する場合には、電力制約は10年単位で長引く可能性が出てくるという。
風力発電潜在力に期待、復興の柱に。民間投資誘導も
なお、今後発生する10兆円規模の原発事故処理費用については、原発再処理や原子力予算の見直しで賄え、電気料金の値上げは必要ないとしている。
さらに、震災被害の大きかった岩手・宮城・福島の東北3県に関し、1,600万KW以上の風力発電での潜在力があるとし、収益性もあることから復興の柱とすべきとし、これに対しては、3県を5~10年間「無税特区」として民間の投資を促すことを提言している。
緊急提言(日本経済研究センター)
http://www.jcer.or.jp/policy/pdf/pe(iwata20110425).pdf公益社団法人 日本経済研究センター
http://www.jcer.or.jp/index.html