財務省が25日に発表した4月の貿易統計(速報)で、輸出額から輸入額を引いた貿易収支は4,6637億円の大幅赤字となった。赤字は1月以来3カ月ぶりで、4月に限っては31年ぶりという。
<写真は財務省>
自動車輸出が前年比半分以下。本格復旧は秋に?
貿易赤字の要因は、震災による企業生産活動の停滞から、輸出額が前年同期比12.5%減と大幅に落ち込んだ一方で、石油製品を中心に輸入額が増えたことによる。
中でも、サプライチェーン寸断の影響を大きく受けた自動車輸出の減少が大きく、輸出全体の落ち込みのうち8.8%と3分の2以上が自動車の落ち込み分となっている。北米・アジア・EU向けともに前年の半分以下と、統計開始後の最低となった。
サプライチェーンの復旧は予想以上のペースで進んでいるものの、電力需給が逼迫する夏場の減産も予想されるため、完全復旧は秋ごろと見られている。
このほか、半導体等電子部品も19.0%減ったほか、食料品も福島第1原発事故に伴う風評被害により、各国が輸入規制をした影響で22.8%減と大きく落ち込んでいる。
輸入額は石油製品などが増え16カ月連続の増に
一方の輸入額は、石油製品や原油が価格高騰もあって8.9%増と16カ月連続で増加している。このため、3月は貿易黒字をかろうじて確保したが、4月は減産の深刻化が全面的に影響した形となった。
同省では、生産の回復と資源価格の動向に注視する必要があるとしているが、回復は秋頃までずれ込むとのエコノミストの見方もあり、赤字が長期化すれば、日本の国内総生産(GDP)成長率の下押し圧力が強まる懸念がある。
財務省
http://www.mof.go.jp/