国際通貨基金(IMF)は8日、日本経済に関するリポートを発表するとともに、記者会見の中で現在5%の消費税率について、2011年度から7〜8%に引き上げるよう勧告した。
さらに巨額の財政赤字を減らすには、数年かけて段階的に15%に引き上げることが重要と、増税時期と内容まで詳しく特定して提言している。
相次ぐ国際機関からの指摘、国際社会に影響の懸念が
またこれに先立つ4月には、経済協力開発機構(OECD)が「対日経済審査報告書」の中で、「公的債務残高は国内総生産(GDP)比200%超といった未知の領域にまで急速に増加している」と懸念を表明し、将来的には消費税率を20%相当まで引き上げる必要性を指摘している。
こうした国際機関が、日本の税制に対し相次いで消費税率の引き上げに言及する背景には、税率引き上げなくしては日本国債の信用不安が急速に高まる懸念があり、国際社会にとっても不測の事態に陥りかねないという強い危機感の表れといえる。
IMFはまた、日本の財政改革が遅れた場合、他国にリスクが波及することにも言及し、日本国債の利回りの急騰で邦銀に損失が生じるだけでなく、政府債務の水準の高い他国の金利上昇に波及する懸念も指摘する。そして日本政府は、国債の平均年限を他の先進国並みの5~6年に近い水準に伸ばすことで借り換えリスクを軽減、調達コストも低く抑えることができるとアドバイスもしている。
こうした日本の国際的な立場からも、政治の指導力がますます問われる状況になりつつある。
IMFの声明(2011年6月8日)
http://www.imf.org/external/japanese/np/sec/pr/2011/pr11222j.pdf国際通貨基金(IMF)
http://www.imf.org/external/japanese/index.htm