ファンドオブザイヤー選出によせて
ファンドオブザイヤー2012選出にあたり、投資信託の評価機関であるモーニングスターが2012年の市況を振り返っている。
ファンドオブザイヤーは今年で14回目。毎年国内の追加型株式投資信託約4000本を対象に選考される。毎年12月末時点で、運用期間1年以上で純資産残高10億円以上のファンドの中から優れた運用実績とマネジメントを持つものに与えられる。部門別に最優秀賞と優秀賞がある。
2012年の振り返り
2012年の市況は、前半は国内・国外のREIT、後半は欧州・豪州の株式が堅調に推移している。
投資信託の運用成績は、年末にかけての株式市場の上昇と主要通貨に対する円安の進行から、資産クラスごと、ファンドごとに大きな差が出る結果となった。
年前半主要国の株式市場は概ね堅調に推移。これは、3月にかけてのギリシャへの財政支援に対する期待や米国の経済指標の発表が良好だったことによるもの。
しかし、4月に入ると欧州債務問題が再燃し、株式市場は調整局面に。5月には外国為替市場でユーロが主要通貨に対して下落。株式市場はリスク回避的な動きが強まり軟調な推移となった。
年後半7月に外国為替市場では主要通貨に対する円高が進行。米国やドイツなどの信用力の高い国の国債利回りは低下し、債券価格は上昇した。これは欧州債務問題の解決が長引いていること、米国や中国の景気減速への懸念が原因とみられる。
9月には欧州中央銀行から欧州財政問題に対処する動きが示されたため、欧州財政問題に対しての過度の懸念は後退したが、中国の景気減速への懸念などから株式市場、外国為替市場共に一進一退。米国の金融緩和の動きも米大統領選挙が控えていることなどから大きな流れとはならなかった。
しかし12月に日本国内の総選挙で自民党が圧勝。大胆な金融緩和や財政政策への期待が大きく高まり株式市場は急上昇、外国為替市場では円安が進行することになった。
ファンドに与えた結果
このような投資環境の中で、モーニングスターが独自に分類したファンドの2012年度のトータルリターンは、88分類のうちブル・ベアファンドを除いたすべての分類でプラスとなった。
年間騰落率は株式市場でTOPIXは18.01%、S&P500指数は13.41%、上海総合指数は3.17%。外国為替市場は米ドルは11.37%の円安・ドル高、ユーロは13.95%の円安・ユーロ高、豪ドルは13.50%の円安・豪ドル高。海外投資型の運用成績を押し上げる要因となった。
2012年の投資信託の人気商品について、モーニングスターは以下のように述べている。
2012年は、REITの人気が継続する一方で、前半に円高傾向が続いたこともあり、為替ヘッジありのファンドも人気を集めましたが、投資家の注目は分配金や利回りの高さにあることに変わりはないようです。ただし、分配金は元本(基準価額)の払い戻しにすぎず、あくまでもトータルリターンでみるべきでしょう。また、通貨選択型ファンドの中でも、コールオプションでプレミアム収入を得る商品が人気を集めました。ただし、商品設計が複雑になると、投資家は好調期にはそれほど意識しなかったものの、想定外のリスクをとっている場合がある点も考慮すべきでしょう。(ファンドオブザイヤー2012より)
ファンドオブザイヤー2012 2012年の市況を振り返って
http://www.morningstar.co.jp/event/foy2012/trend/index.html