成田国際空港(株)が、この9月にロンドンで開かれる格安航空会社(LCC)の国際会議で、LCC専用のターミナルの新設と、割高な着陸料をLCC向け新料金に見直しをし、提案するという。
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いま成田に就航しているLCCは、豪ジェットスターだけ。他では、この7月5日に同じジェットスターが関西国際空港-台湾経由-シンガポール線の就航を開始し、また中国の春秋航空が、同社初の国際便となる上海浦東空港―茨城空港線を昨28日に就航させたばかりだ。
成田空港は、政府が全額出資する株式会社で、所管する国土交通省も格安航空の参入促進を求めており、発着枠数を決める2国間の航空交渉などで誘致を後押しし、羽田とともに首都圏空港の機能強化を目指すこととしている。
今なぜLCC専用ターミナル?
LCC専用ターミナル設置にて使い勝手を良くし、新規就航を促すものだが、日本では全日空も参入を検討している。同ターミナルは関西国際空港も検討しているが、成田が第1号となる見込み。
専用施設は、第1・第2両旅客ターミナルに近い場所などが候補に挙がっており、コスト削減のためターミナルビルと航空機を結ぶ搭乗橋をつくらず、1階建て構造にする案などが出ているという。
着陸料などの優遇も検討する。今年10月末に東京国際空港(羽田空港)の国際線発着枠が増えるのに合わせ、成田を急成長する格安路線の拠点とし、主にアジア圏の旅客需要を取り込む考えだ。
LCCは、既存の航空会社に比べ運賃が2~8割安いことから、東南アジアで急成長しており、業界の推定ではアジアでの航空旅客のうち15~20%程度を占める。成田では、将来すべての発着枠のうち1割程度が格安航空になる可能性があるとし、既に2013年春の開業を目指したLCCターミナル建設の準備を進めているという。
アジアで急成長のLCCを取り込むには?
ただLCCは、一般の航空会社に比べ荷物の持ち込み制限が厳しいこと、機内サービスが有料のほか、利用する空港が郊外にあったりと多少の不便さがある。しかし安さの魅力はやはり大きいことと、とりわけアジア便は、短い距離を頻繁に往復したり、転々と移動するには都合が良い。
ネックは、割高とされる成田空港の着陸料。現在は11年3月末までの期間限定の引き下げ措置にて、最も安い着陸料で1トンあたり1525円になっているが、LCCに対しては、例えば「新規就航の場合は初年度の着陸料を5割引き下げる」案や、LCC専用の料金体系などでが検討され、料金面で就航を後押しする構えだ。
成田空港の年間発着枠は、地元合意などを前提に現状22万回から14年度中に30万回に拡大する見通しで、今後、LCCの発着回数は1割にあたる3万回程度になる見込み。LCCが増えれば、日本を訪れる外国人観光客も増えるし、日本人にとっても割安な料金で国際線を利用する機会が広がることになる。
成田国際空港(株)
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