7月30日のニューヨーク外国為替市場で、ドルが円に対し一時、今年初めて86円を割り込み、8カ月ぶりの円高水準となった。
米商務省が発表した4-6月(第2四半期)の米実質国内総生産(GDP)が前期比2.4%増と、第1四半期の3.7%増(修正値)から伸びが鈍化し、景気の減速懸念からドル安の展開となった。月間ベースでは3カ月連続の下落である。
(イメージ写真)
セントルイス連銀のブラード総裁が29日、米国が日本型のデフレに近づいているとの認識を示したことから、追加緩和の可能性が意識され、政策影響を受け易い米2年もの国債の利回りの低下とともに、ドル売りが広がったもの。
同総裁は報告書の中で、景気が減速し物価が下落した場合は、連邦公開市場委員会(FOMC)が米国債の購入を再開すべきだとの見方を示している。
7月のドルは、主要国通貨全てに対して値下がりに
なおシカゴ購買部協会が発表した7月のシカゴ地区の製造業景況指数(季節調整済み)は、62.3に上昇し、伸びは市場予想を上回った。この発表を受けてドルは、対円での下げを縮小し86円台半ばとなった。
結局ドルは7月、主要国通貨全てに対して値下がりし、対円では2.3%、ユーロに対しては6.2%安の水準となっている。
この先、「目先は、米景気悪化を意識した金利低下圧力がなお残る」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の塩入稔氏)と、対ドルでの円は一段と高くなる可能性がある。
ただ市場では、「85円を超える円高水準では当局からの口先介入警戒感が高まる」(バークレイズ銀行/山本雅文氏)と、大幅な円高はないとの見方のようだ。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
http://www.sc.mufg.jp/バークレイズ銀行
http://www.barclayscapital.co.jp/