世界のムラタは長岡京
誰もが知っている世界的企業の本社は首都にはない。なぜか。
村田製作所の技術がなければ、我々の生活は成り立たない。主力製品はセラミックコンデンサで世界シェアの35%を占める。携帯電話や薄型テレビ、各種家電に至るまで村田製作所が作る小さな電子基盤がなければ動かない。
売り上げの8割が海外で、事業展開はほとんど海外向けとなっている。しかし拠点は京都府長岡京市。なぜこの場所から海外へと飛び立てたのか。
理科少年集団が会社をつくった
京都拠点のメリットは創業期からあったという。ベンチャー企業として出発した1950年当初、今では当たり前となった産学連携を実施していた。京都大学工学部とチタン酸バリウムを使ったセラミックコンデンサを開発。技術者確保にも学生の街京都であることが幸いした。この土地には商人が職人を支える環境が整っていたことが京都ならではの事業展開環境として挙げられる。
村田製作所が世界で評価されている理由の一つにその品質の高さがある。一般的に電子部品企業は裾野の町工場でつくられた部品を組み合わせていると思われがだが、村田は一線を画す。技術者1500人を擁する研究所で素材研究から開発がスタートする。製品の評判が上がれば技術者の士気も上がる。創業者はそこまで計算に入れていた。
大企業病を乗り越えて
理科少年の砦は国内外に54社を擁す世界企業となった。しかし自社で世界レベルの開発を何でやってしまうインナーサークル体質が大企業病という「奢り」を生み出して企業が硬直化してしまったのも事実。そこで社内改革でインターンシップ制度を導入したり、少し上の仕事へチャレンジできる環境をつくった。
改革から5年の今、ものづくりの達成感を味わえ、仕事を楽しめる企業を目指して彼らのベンチャー精神は更に大きく気勢を上げている。
村田製作所
http://www.murata.co.jp/