パンデミックの恐怖は消えない
猛暑の日が続いているとはいえ、暦の上では確実に秋へ向かっている。今年はなりをひそめている新型インフルエンザ。2009年の国境を越えた大流行では人類の医学は太刀打ちできなかった。ウィルスとは刻々とその遺伝子型を変える。季節性や動物に潜む既存株と混合して予期せぬ大流行を引き起こす可能性もあり、パンデミックの可能性は消えていない。
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現状把握の難しさ
人間とは「喉元過ぎれば…」という生き物で、経済活動にまで影響を与えるほどの状況であったにもかかわらず、その対策は不十分と言えるのではないか。実際過去の歴史的大流行と比較すると、昨年の流行は極めて軽微であったという評価であった。患者も重症化するケースは稀で合併症を起こす前に自然治癒した患者がほとんどだった。
大流行を測ることは絶対的な患者数が必要で、流行の初期段階では情報が不足していて正確な情報を把握するのは難しい。しかし公的数字は入院患者の状況に基づくもので実際の数字は大幅に過小評価されたものになる。
ワクチンの問題
2009年はどの医療施設もワクチンが不足して接種制限が行われた。ワクチン確保が国際問題にまで発展しそうな様相であったが、患者数の多い東南アジア諸国こそ対策がなされるべきであったが不十分であったことは疑う余地はない。
新型ワクチンのワクチンを製造するのに時間がかかることも問題となった。遺伝子株が変異した場合には同じ問題が起こる。ワクチン製造施設では季節性のインフルエンザ対策で手いっぱいである。新型インフルエンザに備えようとすると季節性が犠牲になる。ワクチンの製造期間を短縮しようとするとそれだけ設備への投資も必要となる。
しかしインフルエンザとは季節性で休遊期間の施設の維持費の負担や、ウイルス株が変異した場合の対策、余剰ワクチン問題など解決できずにそのままになっている課題は山積している。
国立感染症研究所 感染症情報センター
http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/