停滞の本質はなにか?
慶應義塾大学経済学部の池尾和人教授が、サイト「アゴラ」で厳しい提言を行っている。池尾教授はまず日本のGDPが中国に追い抜かれたことをあげ、どうして日本はこうまで閉塞的な状況に陥ってしまったのかを歴史的経緯から説明する。
冷戦の影響が今になって
池尾教授によれば、我が国は冷戦という構造において最も利益を享受した国家の一つであった。ところがそれが終了して風向きが完全に変わってしまったという。
そして、かつて爆発的な成長を遂げていた一時期に、日本中が米国に追いつかんばかりの勢いであった頃を振り返って、現在は新興国から同じ追い上げを受けているとする。
であるならば、当時日本などの追い上げで急速な不況に喘いでいた米国はどのように対処し、どのように乗り切っていったのか、それを考えることが必要ではないかという。
またもしそれが出来なかったときには、恐らく最悪のシナリオ、
日本経済が歩んでいるのは、「日本の人件費も、どんどんアジア化していくという道」でしかないように思われる。
という言葉を大胆に提示する。こうしたものはなるべくならば見たくないものであるが、一読の価値はあるかもしれない。また、提言に対するコメントも興味深いものが並んでいる。
編集部 宗近明
中国の台頭と日本経済―― 池尾和人
http://agora-web.jp/archives/1082125.html池尾和人研究会
http://seminar.econ.keio.ac.jp/ikeosemi/