1ドル85円が継続すると…
前回は経産省アンケート「円高の影響に関する緊急ヒアリング」から、現在の円高に対する企業の現状認識を取り上げたが、今回は円高が継続した場合の国内産業の影響と中小企業に目を向けたい。
結果は複数回答ありのアンケートで、まず円高がこのまま継続した場合、工場等の海外への移転の検討が39%、海外生産の拡大が61%となっている。いわゆる産業の空洞化だ。
当然それらは単独の影響のみではなく、取引先にも大きな結果を与えることになる。取引先の企業に対する円高の影響においては、「取引先が海外に移転してしまう」が33%、「取引先の業績悪化」が45%、そして「輸入品との競合激化」が41%となった。
下請け企業では8割超が減益に
また現在の円相場が続いた場合の中小・下請け企業のアンケートでは、「深刻な減益」が中小企業で31%、下請け企業で47%、「多少の減益がそれぞれ42%、35%となっている。特に下請け企業では8割を超えるほどの減益影響だ。
この他にも企業の声として、「ドル建て契約の多い企業での収入目減り」「不採算による受注見送り」「そしてウォン安に乗る韓国企業との戦いで劣勢におかれてしまう」といったものがあがる。どれも日本単独では解決困難な問題と思われるが、なんとか生き残りを探っていきたい。
編集部 宗近 明
経済産業省
http://www.meti.go.jp/円高の影響に関する緊急ヒアリング(PDF)
http://www.meti.go.jp/press/20100827001/20100827001-2.pdf