日本経団連の2011年度税制改正に向けての提言が、この4日に明らかになった。
法人税については、「日本の実効税率は約40%と世界最高水準で、外資系企業は日本から撤退し、日本企業も本社機能を海外に移さざるを得なくなっており、早期に30%まで下げるべき」と指摘しているという。これは、同日の読売新聞が報じたもの。
正式には14日の理事会で決定されるが、産業界の国際競争力を高めるため、法人税率を5%以上引き下げるよう求める内容とのこと。
果たして高いのか、今の法人税率
今の日本の法人税率は、米国と同等であるが、EU統合を契機に法人税引き下げ競争の起こった30%前後の欧州と比べると確かに高い。
しかし、大企業は研究開発減税や租税特別措置などの政策減税で大幅な恩恵を受けるほか、海外進出を進めている多国籍企業には外国税額控除などの優遇措置があり、実質の平均は30%台前半のようだ。
6月に閣議決定した政府の新成長戦略には、主要国並みに引き下げるとの方針が盛り込まれているが、税制改正にどう織り込まれるかが焦点となる。
環境税についても反対を主張。そして消費税は?
提言ではまた、二酸化炭素の排出量削減に向けた環境税について、「他国への生産移転を助長し、国内産業の空洞化につながるため、新税導入は行うべきではない」との立場だ。
さらに税率の引き上げを求めてきた消費税について、社会保障費用の増加分をまかなうために「例えば毎年2%ずつ、少なくとも10%まで早期に引き上げるべき。2020年代半ばまでに欧州並みの10%台後半まで上げざるを得ない」と強調しているという。
税負担の問題は、荒波に立ち向かう日本丸の舵取りの問題だけに、正にこれからのリーダーの手腕にかかっていると言える。
読売新聞
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