ウォールストリートジャーナルの社説
米国のウォールストリートジャーナル(以下WSJ)が日本経済について長文の社説を掲載した。そこには辛らつな言葉が並ぶ。
社説ではまず、政府・日銀がなぜ型通りの対応ばかりで、もっと大胆で真に必要とされる対策をとらないのかと批判。日銀は8月30日に短期資金の貸出プログラムを10兆円追加したが、それは的外れであるという。その理由は説得力がある。
日本企業は融資を必要とせず
WSJはこう断言する。
しかし、現実はかなり違う。日本の金融上の問題は、資金供給が不足しているのではなく、資金需要がないことなのだ。今年3月までの1年間の企業純貯蓄が国内総生産(GDP)に占める比率は7.3%だ。これは、多くの企業にはすでに、成長や雇用創出に向けた多額の手元資金があることを意味する。問題は企業がそうしたくないことだ。
そして銀行50行の融資担当者に聞いた調査の結果を引き、融資需要が僅かでもあるとの回答はゼロであったと指摘。日本は小手先でその場しのぎの対策ではなく、経済の活力を真に取り戻すような改革の手を打たねば、浮上は出来ないと断じる。
耳に痛い多くの事柄が並ぶが、「国民は政治家を批判し」、「政治家は日銀を批判し」、「日銀はその場の対処をする」、という不毛な連鎖を乗り越えねばならないという、真剣な訴えが響いてくる。
編集部 宗近 明
ウォールストリートジャーナル日本版
http://jp.wsj.com/[社説]日本の追加対策は型通り、必要なのは構造改革
http://jp.wsj.com/Japan/Economy/node_96520