学は光?
サイト「アゴラ」に定期寄稿し、投資についての著作もある藤沢数希氏が、自身のサイト「金融日記」で公共事業の効果に対する学問的解説をしている。
「ケインズの乗数理論がどうしようもなくしょぼいことのサルでもわかる説明」と大胆に題されたコラムは、本年2月13日と少々古いものになるが、経済学にあまり自信のない方には是非一読をお勧めする。
批判された菅氏
コラムはまず、当時副総裁兼財務大臣であった菅氏が、「乗数」の質問に答えられなかった場面から入る。そしてこのケインズによる「乗数理論」とは何ものかの説明が分かりやすくなされ、そして批判へと移る。
藤沢氏は、日本では長らくこの乗数理論を学んだ政治家や官僚が幅をきかせ、公共事業を行ってきたと指摘。けれどこの理論には致命的な欠陥がいくつもあることが具体的に列挙される。
例えば公共事業は国債の発行によってなされるが、それは当然将来の負担となる。理論的には、不景気の底の時に借金して公共事業をし、好景気の時に増税して返済をすればよいのだが、その景気の谷間というものはそんなに簡単に分かるものではないとする。
また理論通り公共事業で景気が回復するかも定かではない。事実として、日本は不景気に突入しておよそ20年、ずっと公共事業を乱発したが、現実に残ったのは借金だけであるという。
学問とは人間の積み重ねた知恵の結晶であり、それを無視して現在の人間社会は成り立たない。経済という学問の初歩すら知らない状況で、景気の回復を為すのは非常に困難かもしれない。
編集部 宗近 明
金融日記
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/ケインズの乗数理論(Theory of Multiplier)がどうしようもなくしょぼいことのサルでもわかる説明
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51651294.html