日本の期待を背負っていたが…
石油や天然ガスの開発を手がけ、政府が筆頭株主でもある国際石油開発帝石(INPEX)が、世界最大規模の推定埋蔵量をほこるイランのアザデガン油田から撤退することとなった。9月30日に複数のメディアが一斉に報じた。
これは米政府が、核開発疑惑などをめぐってイランに制裁姿勢を強めており、このまま事態が悪化した場合には、INPEXも米政府の制裁対象企業となる恐れが出たためと見られる。
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世界最大級の油田
アザデガン油田はイラン南西部に位置し、推定埋蔵量は260億バレルと言われている。INPEXは当初75%の権益を持っていたが、米国の方針や種々の事情にあわせ、2006年に10%まで権益を縮小している。
この問題に対し大畠経産相は、「INPEXの経営判断」という見解を強調。政府の関与を否定することでイラン政府への配慮も示した。
仮にINPEXが米国の制裁対象企業となった場合、米国金融機関と取引ができなくなるなどの他、日米両政府の間でも軋轢は避けられないとの見方もあった。
朝日新聞によると、同油田には地雷が多数存在し、開発が困難であることも一因となったという。日本にとって資源が死活問題となるのは、先の中国との軋轢でも明らかであるだけに、政府は根本的な戦略の練り直しを迫られそうだ。
編集部 宗近 明
朝日新聞:日本、イラン油田から撤退へ 米政府の要請受け
http://www.asahi.com/business/update/0930/TKY201009300136.html?ref=any毎日新聞 イラン油田:アザデガン開発から撤退 経産省など米に配慮
http://mainichi.jp/select/today/news/20100930k0000e020023000c.html