MIT帰国子女の主張
理工系で世界一とも言われる米マサチューセッツ工科大(MIT)。この大学の「Sloan School of Management」学部でビジネスについて学び、本年6月に卒業をして帰国した日本人女性Lilacさんが、レアアースの需給について過度の恐怖を持つ必要がない理由を論理的に述べている。
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根拠に基づいた指摘
ブログ「My Life After MIT Sloan」の中で、9月25日に「中国がレアアース輸出規制したって怖くない理由」と題された今回の主張。その中でLilacさんは、「そもそもレアアースは中国のみでしか生産できないわけではない」という事実について、分かりやすく解説している。
主張ではまず「そもそもレアアースとは何か?」ということについて、レアメタルとの違いとともに図を示して説明。これらが実際にどのような製品について使用されているかを伝える。
それから「なぜレアアースは中国が9割も握っているのか」という項目に移っていく。そこでは、レアアースというものが中国の全土で生産されているわけではなく、ただモンゴル国境に近い「バイユンオボ鉱床」の1ヶ所のみで生産されているという事実を指摘する。
そして、バイユンオボ鉱床はその特殊な条件によって、極めて安価に採掘が出来るがゆえに、今は世界の他の鉱床が閉鎖されてしまっただけに過ぎないと述べる。閉鎖鉱床は米・豪州・ブラジルなど複数。
現実の分析から3つの選択肢
そしてLilacさんは、この現実から以下の3つの選択肢を提示。
1) 圧倒的なレアアース埋蔵量を誇る米国のマウンテンパス鉱床を再稼動する
2) そのほかオーストラリア、インド、ブラジルなど稼動が低下している鉱床を再開発して規模拡大する
3) レアアースを使わない製造方法を開発する
そして1つ1つの可能性を検証していくと、実際にはもう全ての項目について日本や米国の政府企業が対策に乗り出しており、遠くない将来に今回のような件はもはや脅威でなくなるビジョンを示している。
漁船の衝突事件に絡んだと見られるレアアース禁輸報道ついては、日本のみならず世界的にも大きな衝撃を与えることとなった。結果としてそれは、資源を1国に頼るという現状を変える景気となるかもしれない。
編集部 宗近 明
My Life After MIT Sloan:
「中国がレアアース輸出規制したって怖くない理由」
http://blog.goo.ne.jp/mit_sloan/e/0b3a2bbf74132fe90f2d9c45d677291b