漢方薬、醤油、食料品の原料である甘草の安定確保が狙い
三菱樹脂株式会社(以下、三菱樹脂)が株式会社グリーンイノベーション(以下、グリーンイノベーション)と共同で薬用植物『甘草(カンゾウ)』の人工栽培技術の研究開発を10月から開始する。
甘草は、日本では漢方薬の7割に使用されている他、醤油、漬け物、菓子、さまざまな食料品に甘味料として広く用いられている。これらの甘草の大部分は海外からの輸入に頼っているのが現状だ。
甘草の受給は逼迫 中国からの供給も懸念
欧米でも甘草の需要が旺盛であり、リコリスという伝統的な菓子、リートビアという清涼飲料、リキュールに利用されている。最大の生産国である中国の国内需要も、近年の急速な経済発展に伴い大きく増大している。
そのため需給が世界的に逼迫し、中国では野生品である甘草の乱獲が問題となっている。中国政府が採取制限に乗り出す動きも見せている。甘草は今後レアアースやレアメタルなどと同様、国際的な争奪戦につながる可能性も有している。
日本では甘草を人工栽培し安定供給を図りたいが、人工栽培では漢方薬としての成分が十分に含まれた形に育てることが難しく、そのほとんどを中国野生品の輸入に頼っているのが現状だ。
三菱樹脂の子会社で農業資材を販売するMVKドリームが、自社工場内の植物プラントで10月から試験栽培を開始。2年後の実用化を目指し、量産技術の確立や薬効成分の抽出技術の研究を行う。すでに「グリチルリチン」などの薬効成分を含んだまま種から苗に育てることに成功しているという。
三菱樹脂
http://www.mpi.co.jp/infopdf/20100930.kanzo.pdfinnoplex
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