私たちは何を学ぶべきか
日中両国に多大な影響とナショナリズムの高揚をもたらした尖閣諸島問題。特に日本側には「屈辱」との声が強いが、沸騰の熱もやや収まり始めた今、この問題はどのように捉えるべきであろうか。複数の人々の見解を取り上げたい。
今回は北村隆司氏の意見を紹介しよう。北村氏は早稲田大学を卒業後、伊藤忠アメリカのニューヨーク支社で長年働き、起業も果たしている国際感覚の豊かな人だ。
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感情論を唱える前に
北村氏はサイト「アゴラ」にて<「尖閣問題」を祝うー「弱腰外交」「口先右翼」の真髄を問う絶好の機会!>と題したコラムを発表している。
この中で氏は「国内法に基づいて対応する」という方式が外交では通用しづらいこと、罵倒や「弱腰」の怒鳴り声をあげるだけでなく、国民的かつ建設的議論が大切であることなどを主張する。
詳しく見ていこう。北村氏はまず、私たち日本国民はあまりにも政府に頼りすぎ、自分で物事を決めていく能力を失ってしまったと指摘する。それは必然的に失敗を人のせいにする習慣も植え付けたという。
ついで米国などと違い、日本は通常の国家であるがゆえに、内政事情を外交に持ち込む力がないこと。そのため、時には外交相手の立場を優先しなければならないと現状をのべる。
日本は友好を拡げているか?
また日本は縦割り行政と省庁の縄張り意識の弊害で、今回の問題が沸き上がった時、本来なら反中国傾向のある東南アジアの国々が援護の声をあげても良いはずであったのに、それすら受けることはできなかったことも指摘する。
ついでカナダとEUの間で似たような問題が起こった時のことを例にあげる。この時は双方の軍が対峙するほどにまで事態が発展したが、お互いが法律を前面に出して正当性を主張したものの、解決の役には立たなかったという。それは今回の「国内法に則る」という政府の方針にも通じる。
結論として北村氏は、日本国民が現実を踏まえたうえで、誰かに頼るという姿勢を捨てて議論を開始するべきであると主張する。特に領土問題はどれも難問であるだけに、政治家に結果責任だけを問い続けるのは未来に繋がらないということだろう。多様な意見の1つとして参考にしていきたい。
編集部 宗近 明
アゴラ:「尖閣問題」を祝うー「弱腰外交」「口先右翼」の真髄を問う絶好の機会!
http://agora-web.jp/archives/1101431.html